公開日: 2026/07/23

下水道の危険ガスを連続検知する気流制御モジュール[信州大学・繊維学部]

カイコガの羽ばたきに学ぶ気流制御で、センサへの空気導入を制御し、危険ガスH₂Sの安定した連続検知を実現


カイコガの触角を用いたEAGセンサとエンクロージャを搭載した匂いセンサ搭載ドローンの構成

SUMMARY

本技術は、蚊などの昆虫の触角をセンサ素子として用いるバイオハイブリッド型の匂いセンサ・匂い源探索技術です。蚊の触角がヒト呼気由来成分に応答する電位変化を取得することで、半導体ガスセンサや画像系センサとは異なる検出原理でのヒト存在検知を可能にします。ステップ構造電極による微小昆虫への低損傷な刺入と、ハイドロゲル電極による乾燥・損傷の抑制により、7時間以上の安定計測を確認(従来は約3時間)。センサを覆うエンクロージャにより匂いの方向検知が可能となり、カイコガの触角を搭載したドローンでは最大5mの匂い源探索に成功。現在、蚊の触角を搭載した移動体への展開も進めています。災害現場での要救助者探索など、視界不良・複雑な気流環境下での応用が期待されます(信州大学・照月大悟 研究室)。

蚊触角を用いたヒト呼気検知 匂いセンサ について

  • 災害現場では、生存者を迅速に発見することが重要となる。しかし既存の半導体ガスセンサや画像系センサは、低濃度・遮蔽物・複雑な気流環境下では、検知や発生源の推定が難しい場合がある。

  • 昆虫の触角は、半導体センサ等とは異なる検出原理で匂いに応答する。本技術は、その匂い応答を電位変化として取得することで、生体由来の新たなセンシング手段を実現する。

  • とくに蚊の触角はヒトの呼気由来成分を検出することから、ヒト存在検知・要救助者探索への応用が期待される。

  • センサ素子の固定・長寿命化と、移動体への搭載を組み合わせることで、匂いの発生源(要救助者)の方向検知・位置探索を可能とする匂いセンサ・匂い源探索プラットフォームを構築した。


比較

昆虫触角バイオハイブリッドセンサ(本技術) vs 従来センサ

項目 昆虫触角センサ
(本技術)
従来センサ
(半導体・画像系)
検出原理 生体触角の匂い応答 物理・化学/画像
視界不良・遮蔽環境 影響を受けづらい 検知が難しい場合あり
匂い源の方向検知 エンクロージャで可能 気流の影響を受けやすい
移動体への搭載 ロボット・ドローン対応 用途により制約

EFFECTS

技術の効果

  • 蚊の触角をセンサ素子に用いることで、約2m離れたヒト呼気の応答を確認。半導体・画像系とは異なる原理でのヒト存在検知が可能。

  • ステップ構造電極による低損傷な刺入+ハイドロゲル電極による乾燥・損傷の抑制 → 7時間以上の安定計測を実現(従来:約3時間)。

  • センサを覆うエンクロージャにより、自然拡散する匂いの方向検知が可能。

  • カイコガの触角を搭載したドローンによる探索実験では、最大5mの匂い源探索に成功。蚊の触角を搭載した移動体への展開も進めており、広域での匂い源探索が期待できる。

カイコガの触角を搭載したドローンによる5mの匂い源探索実験の飛行軌跡
カイコガの触角を搭載したドローンによる匂い源探索実験。スタート地点から5m先の匂い源(ファン)を探索した飛行軌跡。

KEY POINTS

技術のポイント

  • センサ素子:蚊の触角がヒト呼気由来成分に応答する電位変化を取得。カイコガなど他の昆虫触角も適用可能で、半導体センサ等とは異なる検出原理をもつ。
  • 電極・固定:ステップ構造電極で微小昆虫への低損傷な刺入を実現し、安定した電気信号取得を確認。ハイドロゲル電極で触角の乾燥・損傷を抑制し、7時間以上の安定計測を達成。
  • 搭載・運用:エンクロージャにより匂いの方向検知が可能。カイコガの触角を搭載したドローンで広域の匂い源探索(最大5m)を実証済み。蚊の触角を搭載した移動体への展開も進めている。
  • 視界不良・粉塵・湿度・障害物など、災害時に想定される困難環境の影響を受けづらいセンシング手段。

USE CASES

想定される用途/実績例

  • ヒトの呼気検知(約2m離れたヒト呼気の応答を確認)
  • 小型・軽量な匂いセンサデバイス
  • 匂い源探索ロボット(匂いの発生源=要救助者の位置を探索)
  • 匂いセンサ搭載ドローン(カイコガの触角を搭載し最大5mの匂い源探索に成功、蚊触角搭載も推進中)
  • 困難環境向けセンシング(低照度・粉塵・湿度・障害物などの影響を受けづらいセンサ)

FAQ

よくある質問

バイオハイブリッド匂いセンサとは何ですか?

生きた昆虫の触角をセンサ素子として用い、触角が匂いに応答した際に生じる電位変化を電気信号として取得する匂いセンサです。昆虫の鋭敏な嗅覚を活かすため、半導体ガスセンサや画像系センサとは異なる検出原理をもちます。本技術では、ヒトの呼気由来成分に応答する蚊の触角を中心に、カイコガなど他の昆虫触角にも応用できます。

なぜ災害時の要救助者探索に役立つのですか?

災害現場では生存者を迅速に発見することが重要ですが、既存の半導体ガスセンサや画像系センサは、低濃度・遮蔽物・複雑な気流環境下では検知や発生源推定が難しい場合があります。本技術はヒトの呼気由来成分を手がかりとし、低照度・粉塵・湿度・障害物といった困難環境の影響を受けづらいため、視覚以外の探索手段として要救助者探索に役立つことが期待されます。

なぜ「蚊」の触角を使うのですか?

蚊の触角はヒトの呼気由来成分を検出する特性をもつため、ヒトの存在検知や要救助者の探索への応用が期待できるためです。本技術のプラットフォームはカイコガなど他の昆虫触角にも対応しており、検出したい匂いに応じてセンサ素子を選択できる柔軟性があります。

触角はどれくらいの時間、安定して計測できますか?

微小な昆虫への低損傷な刺入を実現するステップ構造電極と、触角の乾燥・損傷を抑制するハイドロゲル電極を組み合わせることで、7時間以上の安定計測を確認しています(従来は約3時間)。これにより、より長時間にわたる安定した信号取得が可能になります。

既存の半導体ガスセンサや画像系センサとの違いは何ですか?

本技術は、昆虫触角の匂い応答を利用する生体由来センサであり、物理・化学的な検出原理に基づく半導体ガスセンサや、視覚情報に依存する画像系センサとは検出原理が根本的に異なります。そのため、半導体・画像系センサが苦手とする低濃度・遮蔽物・複雑な気流環境下でも検知の可能性があり、既存手法を置き換えるものというより、それらを補完する新たなセンシング手段として位置づけられます。

どのくらいの距離から匂い源を探索できますか?

ヒト呼気については、蚊の触角を用いて約2m離れた位置からの応答を確認しています。また、センサを覆うエンクロージャにより匂いの方向検知を可能とし、カイコガの触角を搭載した小型ドローンによる探索実験では最大5mの匂い源探索に成功しています。現在、蚊の触角を搭載した移動体への展開も進めており、用途に応じた昆虫触角の選択により、さらに広域での匂い源探索が期待できます。

どのような応用が想定されますか?

ヒトの呼気検知を中心に、小型・軽量な匂いセンサデバイス、匂いの発生源(要救助者)の位置を探索するロボット、匂いセンサを搭載したドローン(カイコガの触角で最大5mの匂い源探索を実証、蚊触角搭載も推進中)などが想定されます。とくに災害時に想定される低照度・粉塵・湿度・障害物といった困難環境の影響を受けづらい点を活かした、要救助者探索などの用途が期待されます。

共同研究や技術相談はどこに問い合わせればよいですか?

本ページ下部の「お問い合わせフォーム」、またはお問い合わせページよりご連絡ください。株式会社 信州TLO が、産学連携による製品開発・共同研究・ライセンス等について、最適な形でご提案いたします。

基本情報

研究者
信州大学 繊維学部 機械・ロボット学科 バイオエンジニアリングコース 准教授 照月 大悟(出願当時)
研究室Webページ
https://bio-hybrid.org/
発明の名称
ガスセンサーシステム、ガスセンサーシステムの制御方法
出願番号
特願2025-249710
出願人
信州大学

デバイス・装置関連技術

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