公開日: 2025/10/23

海島構造で平滑かつ高強度な接着を実現する「超極細繊維状接着剤」[信州大学・繊維学部]

海島構造で均一に広がる超極細繊維が、薄く強い新しい接着層を実現します。

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海島構造で平滑かつ高強度な接着を実現する「超極細繊維状接着剤」 について

  • 従来の繊維状接着剤は直径10~50 µmと太く、接着後に表面の凹凸が残りやすいという課題があった。

  • 本技術では、ポリビニルブチラール(PVB)を海成分、ポリエステル(PET)を島成分とする海島構造の超極細繊維(島径1~2 µm)を開発。

  • 熱プレス時にPVBが溶融して基材表面に均一に広がり、内部の極細PET繊維が補強骨格として作用。

  • その結果、薄く・平滑で・高剥離強度の接着層が形成される。


 

比較

海島構造(本技術) vs 芯鞘構造(従来)

項目 海島構造 芯鞘構造
繊維径(代表値)
約2
µm(島径)
約35
µm(芯径)
接着層厚み(熱プレス後)
約2
µm
約37
µm
表面平滑性 均一に広がり平滑 凹凸が残りやすい
剥離強度(代表値)
100〜200
mN/cm
60〜90
mN/cm
曲げ・変形への追従性 高い追従性 やや不足

 

 


【技術の効果】

  • 接着層が極めて平滑 → 電子デバイス・光学用途での界面不良リスク低減

  • 薄膜化・均一分散 → 軽量化と外観品質の両立

  • 柔軟性と追従性 → 曲げ・衝撃に強い複合材接着

  • 溶媒処理によりPET繊維が均一分散 → 多様な基材に対応可能


技術のポイントまとめ

  • PVB/PET海島複合構造を世界で初めて繊維化
  • 超極細繊維(島径1–2 µm)により平滑で強固な接着層を実現
  • 軽量・高追従性が求められる複合材や電子部品分野に有用

 

想定される用途/実績例

基本情報

出願番号
特願2025-111275
研究者
信州大学 繊維学部 冨澤錬助教(出願時)
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